9. 百名山登頂を目指すこととなる

標高3000m以上の21座を踏破した時点で数えてみると既に百名山を30近くも登っている。この時ふと思った。 家内は既に70近くの百名山を登っていたが特に百名山踏破を目指してはいない。既に登っている山でも人に誘われると出かけて行く。どうせ家内のお供で山に登るなら少しでも多くの百名山を登ってみたい。そんな思いから家内が山の友達と私の登っていない百名山にゆく時は努めて連れて行ってもらうことにした。便乗である。百名山を目指し自分で計画し単身登山で完登した人はすごいと思う。私のように人に便乗して登ったのに比べると数倍の価値があるだろう。そうこうして我が家の「山の神」に付き合って山登りをしている内に百名山の半分近くに達した。年々体力の衰えを痛感し始めていた頃である。挑戦するとなるときつい山は少しでも体力のあるうちに登ってしまわねばならない。

未だ登っていない大変そうな山をリストアップして見た。利尻山笠ヶ岳、光岳、高妻山皇海山トムラウシ平ヶ岳飯豊山、富士山、幌尻岳宮之浦岳であった。利尻山は登りそのものも可なりきついがそれよりも夏の登山シーズンに利尻島の宿を確保するのが大変なのである。悪天候で登れずに帰ってきた人の話も聞いていたので予備日も考えるとこちらの都合よい時に宿を確保するのが難しい。笠ヶ岳新穂高からの笠ヶ岳新道は距離があって大変であると言う。光岳(テカリ)は他の山からちょっと離れたところにありなかなか他の山を登ったついでに寄って来るというわけにはいかない山である。高妻山はアップダウンが9回もあって登りがかなりきついと聞いていた。皇海山(スカイ)は登山口までのアクセスが距離のある悪路で大変であるという。普通の乗用車では難しいのでランドクルーザーのような車で行くしかないと聞いていた。トムラウシは登山時間が長い上に雨に降られると大変な泥沼の登山道となり苦労するという。現に私より先に山仲間と登った家内は帰りに膝まで泥水に埋まり大変な苦労をしていた。平ヶ岳は正規な登山ルートで登ると距離があるうえ上に山小屋がないのでテントを持って登らなければならないという。

飯豊山も奥が深く長時間歩く上避難小屋で寝るための寝具を持ってゆく必要があると聞いた。富士山は大勢の人が登るが高度のため登山病にかかる恐れがあるというのでやはり少しでも体力があるうちに登っておきたい山である。幌尻岳は何箇所もの渡渉場所があり天候が悪いと水嵩が増して渡渉できなくなり登山不可能となるか又は運良く登っても水嵩が引くまで何日も山の上で待たなければならなくなることがある。十分な予備日を持って計画しなければならず時間に余裕のない人には時期を選ぶのが難しい。屋久島にある宮之浦岳は遠くて出向くのが大変だし雨の多い屋久島なので天候の良い日にぶつからないと土砂降りの中を長時間歩かねばならないことになりかねない。やはり時間と財力が必要な山の一つである。以上の山には積極的に機会を作り早めに挑戦することにした。