25.九州の山々(1)

九州には鹿児島県屋久島にある宮之浦岳を除いて九州本土に5つの百名山が存在する。その5つだけなら一週間ほどあれば回れそうである。そんなことで11月初旬に家内と飛行機で大分まで行きレンタカーを借りた。
深田久弥が選んだ百名山の中には独立峰でなく連峰又は山塊を総称しているものが多い。例えば八ヶ岳天城山赤城山鳳凰山、丹沢、等々かなり存在する。しかもその名で呼ばれる独立峰など無い場合がほとんどだ。例えば八ヶ岳と呼ばれる単独の山は存在しない。では、こんな場合、それぞれの山塊のうちどの峰に登ったら百名山に登ったことになるのか。私の場合は連峰の中で一番高い山を含んだ1・2座を登ったらその百名山に登ったことにしている。そうでもしなければ丹沢連峰などは数多くの名峰があり、それらすべてを登頂しなければ百名山の丹沢に登ったことにならなくなってしまう。百名山で呼ばれる連峰すべてを登らなければならないとすると深田久弥百名山を踏破するには百二三十の山に登らなければならなくなってしまうのである。

九州の山は開聞岳を除いては山塊と言ってもいい。祖母山は一つの山の名であるが山塊の中の一峰と思われるからだ。大分に着いた日に足慣らしのため別府市内の鶴見岳に登った。由布山が直ぐ傍にある。先を急ぐためその日の内に久住山の麓までドライブすることになる。有名な温泉地、湯布院を抜けて行く途中で見えた由布岳は優雅な姿を見せていた。とても美しくて百名山に入れてもいいのではと思えた(後に岩崎元郎氏が選んだ新百名山には入っている)。日暮れ前に久住山近くの山小屋風の素敵な宿に到着した。

翌朝は早起きして登山口の牧の戸峠まで車をとばす。牧の戸峠は標高1330メートル、冷気が肌にしみる。ここから久住山そして九州最高峰の中岳を巡ってこの牧の戸峠に戻る3時間余の軽いコースである。 駐車場からしばらくは観光用の遊歩道を歩くが、間もなく広々とした草原となった。原を過ぎ三角錐の急斜面を岩礫に足を取られながら、直登して久住山頂に立った。思ったより楽な登頂であった。久住の山々を間近に眺め、これから挑戦する祖母、阿蘇の山並みを眺めた。  

頂上から鞍部に下り、そこから登り返して一気に中岳の項上まで登る。 中岳は1790メートルである。祖母山、久住山大船山・・と、九州本土最高峰は二転三転の結果、この中岳が正真正銘の最高峰として決着したそうである。午後には阿蘇山に登る計画なので長居は出来ない。牧の戸峠に戻ると直ちに車に飛び乗り阿蘇に向かった。