24. 山で出会った動物達

鳥ほど種類は多くは無いが山歩きの最中に野生の動物に出会うことがある。北海道ではエゾヒグマ、ナキウサギ、キタキツネに出会った。北海道ではキタキツネの体表面や糞などを媒介とするエキノコックス症の感染も問題視されていて山中では人は天然水を飲まないよう注意されている。そんな話を聞いていたせいか出くわしたキタキツネは汚らしくてみすぼらしく見えた。岩手県早池峰山では登山口へ向かう自動車道では車の直前をツキノワグマの子熊が転がるようにして横切ったことがある。 子熊のそばには親熊がいるので注意しなければいけないと言われているが、この時は車の中から見たので怖さは無かった。ぬいぐるみのような真っ黒な可愛い子熊であった。オコジョには一度しか出会っていない。可愛い顔をしているが大変凶暴な性格と聞いている。キツネ、リス、猿、鹿は比較的低いところで出くわすことが多い。猿はボスを中心に集団で移動していることが多く、出くわすと歯をむき出してこちらを威嚇してくることが多い。いのししや熊はお呼びでないし、大きなカモシカは可愛いと思わないがデズニー映画に出てくるバンビのような可愛い鹿には三度ほど出くわしている。動物との出会いでは親子の情を感じさせられたこともあった。

北アルプスの麓の渓谷に沿った山道を歩いていた時に山道横の窪みにうつぶせになった親キツネの死体を発見した。毛並みから見て死んでからそんなに時が経っているとは思えなかった。そこから50mほど歩いた時である。渓谷の対岸、距離にして20mも無い岩場の穴から身を半分ほど乗り出している子狐が目に入った。 こちらをじっと見つめている。コマーシャルに出てくる子狐ような可愛い目をしていた。先ほど見かけた親狐の子供なのかあまりのあどけなさに暫く見とれてしまったのである。親狐がどうして山道の途中で亡くなったのか理解できなかったが生き物の哀れを感じずにはいられなかった。これとは逆に亡くなった子鹿を見守っていた鹿に出会ったことがあった。

日光の中禅寺湖傍の低い山に登った時であった。樹林帯の中の道を歩いていると突然10mほど先から親鹿が立ち上がり走り去ったのである。なんとそこには死んだばかりと思われる子鹿が横たわっていたのである。我々が通りかかる迄親鹿が動かなくなった子鹿をうずくまって見守っていたものと思われる。子鹿がなんで死んでしまったのかは分からなかったが、この光景も心の痛むものだった。