5. 再び山登りへ

結婚してからは山登りから遠ざかっていたがスキーには長男が2-3才の頃から家族揃って出かけた。家内が下の子(赤ん坊)を背中に負ぶってゲレンデを滑る姿は当時でも珍しかったと思う。何年かは本格的な山登りの話は出てこなかったが子供たちが小学生になった頃からかみさんの山の虫がうずき始めた。小さい子3人を連れて北アルプスに行くという。いくら何でも幼い子3人をかみさんだけで面倒見るのは大変だと言うことで渋々お供することになった。最初の山は爺が岳であった。それからは奥武蔵のハイキングコースへ行くことも多くなり、高い山にも毎年のように連れて行かれた。燕岳、西穂等々。すべて夫婦円満、家庭円満のためである。未だに「お父さんは何時もつまらない顔をしていた」と言われるが確かに喜び勇んで出かけたとは言えない。

退職の数年前から仕事が極端に忙しくなりストレスがたまり、タバコも吸い出し、十二指腸潰瘍、糖尿病、慢性膵炎等に悩まされ始めていた。これは何か気晴らしのスポーツでも始めないと危ないと感じ始めた。家内が入っていた近所の山岳サークルに入ることになったのは家庭円満のためではなく自分の健康保持のためであった。他のスポーツは相手を見つけなければならないが山ならいつでも先導者が横にいるではないか。こんなふうにして私の山への再挑戦が始まった。