12.皇海山(すかいさん)

皇海はスカイと読むのだが初めてこの山の名を耳にした時には英語の「Sky」だと思ってずいぶん面白い山があるなと思ったものである。 又、日本三百名山の一つである中央アルプスの越百山(こすもやま)も初めてコスモと言うのを耳にした時には宇宙を表す英語の接頭辞「Cosmo」と思いずいぶん雄大な名前が付けられているなと思ったものである。もっとも奥穂高岳の西南西にあるドーム型の岩稜はフランス語のジャン・ダルム「gens d’armes」(憲兵、転じて前衛峰の意)と呼ばれているのであるから日本の山の名に外国語が使われていると思っても不思議はない。

さて、皇海山に登るには栃木県側の銀山平から庚申山・鋸山をへて皇海山にいたる伝統的なルートと、群馬県側の不動沢からのルートがある。庚申山頂への登り、鋸山の峰々の登降は梯子、鎖が数多く現れる険しい道のりであり、初心者には勧められないと言われている。群馬県側の不動沢ルートは、自家用車を利用すれば比較的短時間で登頂することができる。家内からは庚申山経由のルートは難しいと聞いていた。初めから不動沢ルートしか考えていなかったのであるがこちらのルートは登山口までのアプローチが難しいと言うのだ。長い悪路で普通の乗用車では無理だろうとも聞いていた。
家内は皇海山には既に登っていて一緒に付き合ってくれる様子もない。あのひどい林道を長時間、車に揺られるのはいやだと言うのである。そこで思いついたのが高校同期の山仲間N君の頑強な4輪駆動車であった。 N君に話すと喜んで一緒に行ってくれると言う。善は急げと同じく高校同期の山のベテランK君にも一緒に行ってもらうことにした。

登山当日、群馬県沼田市利根町の老神温泉近くから林道に入ってでこぼこ道を約1時間走って登山口に到着する。確かに悪路ではあったが普通の自家用車では無理と言うほどのものではなかった。登山口には新しい立派なトイレが出来ていたので家内達が登山した後で、林道ともども皇海山登山者の為の整備が進んでいたのかもしれない。登山口からの登山はそんなにきついものではなく紅葉をたのしみながら楽しく登山を終えた。帰路老神温泉に泊まり無事皇海山登山は終ったのである。
富士山にしろ皇海山にしろ大変な山と考えていただけにちょっと拍子抜けした感がある。