22. 山と高山植物

高山植物に全く興味を示さない方も無くは無いが多くの登山者達は美しい高山植物を観察しながらお互いに花の名前を言い当てっこしながら歩いている。山によっても季節によっても、又山の高さによっても見られる花の種類が違ってくるのが平地に咲く花と違うところである。私も初めの頃は全く花の名前が分からなかった。仲の良い友人が最初に教えてくれたのは「白山ふうろう」であった。「これを知らないと高山植物を知らないことになる」と言われたのを覚えている。

私も多くの山を登ったおかげで今では30前後の高山植物の名前は分かると思うが家内の方は知っている花の数が一桁違っている。一緒に歩いていてあれこれ花を指差し訊くと大抵は答えてくれる。家内は知らない花に出合うと私に写真を撮らせる。家に帰ると直ぐに高山植物図鑑を引っ張り出して研究している。差がつくのも無理は無い。私は4・5回教えてもらわないと覚えられないが「ウサギギク」、「キヌガサソウ」、「カタクリ」、「ゴゼンタチバナ」、「コバイケイソウ」、「コマクサ」、「タカネマツムシソウ」、「チングルマ」、「ツマトリソウ」、「ニッコウキスゲ」、「ハクサンフウロウ」、「ミヤマアキノキリンソウ」、「ミヤマトリカブト」、「ヨツバシオガマ」、「ワタスゲ」等々、良くお目にかかる高山植物は流石に覚えてしまった。努力もしたことがある。ある夏のシーズン、家内に挑戦しようと思って70種しか載っていない小図鑑を毎日見て全部分かるようにしたのである。しかし、翌年になったら三分の一も覚えていなかった。それ以来無駄な努力はしないことにしている。